「総合的な学習の時間」のねらいは何ですか。
「総合的な学習の時間」というのは、自由裁量の時間でも、体験学習の時間でもありません。あくまで学習指導要領で規定されている時間ですから、その主旨を理解して、カリキュラムを組み立てることが大切です。新しい学習指導要領の総則には、つぎのような形で「総合的な学習の時間」のねらいが述べられています。
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総合的な学習の時間においては、次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(1) 自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
(2) 学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。
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つまり、児童生徒に主体的な課題意識や自己学習力を身につけさせるよう、教師が「指導を行う」時間であると言えます。
「総合的な学習の時間」というのは、「体験学習」の時間と聞きましたが…。
体験学習は、今日の子どもたちにとってふさわしい活動ですが、体験が目標になってしまうことは、「総合的な学習の時間」のねらいから見てずれてしまいます。「総合的な学習の時間」においては、結果 的に自己学習力や情報活用の実践力が身につくことが重要であり、そのような能力が身につかない体験活動だけでは、不十分であるということになります。
新しい学習指導要領では、総授業時間数が減り、教科の学習時間も軒並み減っています。その中において、わざわざ「総合的な学習の時間」を新設し、100時間を超える時間を割り振った理由を考えることが大切です。そのようにして捻出した時間が、単なる体験だけで終わってしまうことのないよう、教師や学校は、新しい基礎学力をしっかり把握して、カリキュラムを責任持って編成しなければなりません。
「総合的な学習の時間」の授業時数は、どのように確保するのですか。

これまでの学習指導要領では、年間35週の倍数で各教科等の授業時間数を決めていました。新しい学習指導要領では、これまでと異なりこの原則を崩してあります。つまり、毎週一定の時数を割り振るだけでなく、内容に応じて、例えば、2学期のある時期の午後を全部「総合的な学習の時間」にあてるなど、集中的に時数を確保したり、弾力的に運用することが可能になります。
この点から考えても、各学年のどの時期に、およそどのような内容の学習が行われるかについて、1年間の見通 しを持ったカリキュラムと活動計画が練られておくべきであることがわかるでしょう。

「総合的な学習の時間」には教科書はありますか。
「総合的な学習の時間」は教科ではありませんから、教科書はありません。
先生方は忙しいので、教科書がほしいという気持ちはよくわかります。しかし、「総合的な学習の時間」は、従来のように教師が子どもたちに向かって知識を教え込む学習ではありません。教師が子どもたちといっしょに考えてある課題を解決していくような時間です。
学習内容は、その地域のことや、今日的な課題や、児童生徒の興味関心や学校の実態などに応じて、各学校で決めますから、教科書を作成することはできません。教師が子どもたちのために、さまざまな課題を考え、子どもたちの状況に応じて柔軟に対応していくことが大切です。しかし、教師がひとりでこのようなカリキュラムを作成することは困難です。教師グループやカリキュラム開発の研究者、教育委員会が協力して、汎用的なカリキュラムを開発し、インターネットなどで教材を提供する動きもあります。
「情報教育」とは、どんな教育ですか。
「情報教育」とは、子ども達に情報活用の能力を育成する教育のことをさします。
平成14年からの新しい学習指導要領では、小中高に一貫したカリキュラムが用意されます。情報活用の能力は「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度(含む情報モラル)」の3つの内容に分かれています。このうち、「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」は、中学校・技術家庭科の「情報とコンピュータ」や、高校に新設される必修教科「情報」など専門の教科で育成されることになります。しかし、通 常の授業で主に意識すべきものは、情報活用の実践力や情報モラルの育成です。 情報活用の実践力は、児童生徒が、自分にとってどのような情報が必要かを自分で判断し、主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえながら発信・伝達できる能力のことです。また、児童生徒の課題や目的に応じて情報手段(コンピュータやインターネットなど)を適切に活用することができるようになることも期待されています。「総合的な学習の時間」では、さまざま学習活動を通 して、これらを育成することが期待されています。
「情報教育」は、学校のどの教科でやったらいいのですか。
情報教育の目標のうち「情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解」や「社会生活の中で情報や情報技術が果 たしている役割や及ぼしている影響の理解」は、主として知識・理解を中心とする内容ですので、中学や高校の専門科目の内容になるでしょう。しかし、「必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力(情報活用の実践力)」や「情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度」は、小学校の段階から育成していかなければなりません。特に、いわゆる情報モラルに相当する基本的な考え方は、9歳までに身につくというデータもあり、小学校レベルでの良い実践がもとめられます。
具体的な実践では、理科や社会科における「調べ学習」のように、情報を収集・整理・表現・発表したりする学習活動のそれぞれの場面 で、学習課題を設定することによって、情報教育のねらいを達成させることもできます。しかし、教科の中での展開は、どうしても学習内容の理解の徹底に多くの時間が割かれて、情報教育の展開が十分果 たせないという予想もあります。そこで、平成14年からの学習指導要領では、教科の枠を超えた新しい枠組みの「総合的な学習の時間」が設定されたわけです。この時間は、単なる新しい教科ではなく、画期的な考え方が折り込まれています。「総合的な学習の時間」の設置のねらいは、『各学校の創意工夫を生かした横断的・総合的な学習や児童生徒の興味・関心等に基づく学習などを通 じて、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること』や『情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方を身につけること、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成すること、自己の生き方についての自覚を深めること』と記述されており、情報教育のねらいを具体的に反映している時間枠であることがわかるでしょう。
「総合的な学習の時間」は、小学校3・4年で年間105時間、5・6年で110時間設定され、情報教育の枠組みを軸としてカリキュラムを構成することが期待されているのです。また、中学校・高等学校においても年間70時間程度が確保されています。「総合的な学習の時間」は、『問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育成する』時間であり、まさに情報活用の実践力やネットワークの活用能力を身につけることを求めている時間といえます。