「総合的な学習の時間」は、どのような教室を準備しなければならないのですか
「総合的な学習の時間」での学習活動は、これまでの教室での教科の学習とは違ったいろいろな学習展開が考えられます。実践力を身につけるためには、具体的な作業や情報収集、制作活動、インターネットを利用した学習なども必要です。
学習形態も、個人ごとの学習やグループ学習、学年全体による学習、異年齢集団での学習、外部人材による学習、学校外での活動など、さまざまな形態を積極的に採用する必要があります。また、グループ活動1つみても、興味・関心別 のグループ編成や、表現方法別の編成、調査対象別の編成など、経験させておきたい多様なグループ編成が考えられます。
このように、これまでのような教室単位だけの学習を考えているだけでは通 用しないのが「総合的な学習の時間」だと言えます。情報アクセス可能なコーナーや制作コーナーなど開放的な学習空間が必要になるのは、いうまでもありません。
「総合的な学習の時間」には教科書はありますか。
「総合的な学習の時間」は教科ではありませんから、教科書はありません。
先生方は忙しいので、教科書がほしいという気持ちはよくわかります。しかし、「総合的な学習の時間」は、従来のように教師が子どもたちに向かって知識を教え込む学習ではありません。教師が子どもたちといっしょに考えてある課題を解決していくような時間です。
学習内容は、その地域のことや、今日的な課題や、児童生徒の興味関心や学校の実態などに応じて、各学校で決めますから、教科書を作成することはできません。教師が子どもたちのために、さまざまな課題を考え、子どもたちの状況に応じて柔軟に対応していくことが大切です。しかし、教師がひとりでこのようなカリキュラムを作成することは困難です。教師グループやカリキュラム開発の研究者、教育委員会が協力して、汎用的なカリキュラムを開発し、インターネットなどで教材を提供する動きもあります。
「情報教育」とは、どんな教育ですか。
「情報教育」とは、子ども達に情報活用の能力を育成する教育のことをさします。
平成14年からの新しい学習指導要領では、小中高に一貫したカリキュラムが用意されます。情報活用の能力は「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度(含む情報モラル)」の3つの内容に分かれています。このうち、「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」は、中学校・技術家庭科の「情報とコンピュータ」や、高校に新設される必修教科「情報」など専門の教科で育成されることになります。しかし、通 常の授業で主に意識すべきものは、情報活用の実践力や情報モラルの育成です。 情報活用の実践力は、児童生徒が、自分にとってどのような情報が必要かを自分で判断し、主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえながら発信・伝達できる能力のことです。また、児童生徒の課題や目的に応じて情報手段(コンピュータやインターネットなど)を適切に活用することができるようになることも期待されています。「総合的な学習の時間」では、さまざま学習活動を通 して、これらを育成することが期待されています。
コンピュータを使って授業をすれば、「情報教育」の授業になりますか。

「情報教育」=「コンピュータを使う」「コンピュータの使い方を学ぶ」と考えてしまうことがありますが、それは違います。
「情報教育」の目標は、自らの問題解決のために情報を活用することと、そのために情報手段を適切に活用できる力を育成することです。したがって、コンピュータを使っていても、そのような能力が身につかなければ、「情報教育」にはなっていないのです。 逆に、コンピュータを活用する場面で、どのように情報を編集すれば相手に伝わりやすいか、どんな方法で調べればうまくいくかなどの学習課題を児童生徒に意識させることができれば、それは「情報教育」であると言えます。

「コンピュータを使う」ことはあくまでも手段です。手段が、そのまま目標であるというのは、大きな誤解です。
特に学年の低い段階では、コンピュータを使うことより、情報を手作業で収集したり、まとめたり、表現したりといった活動の経験が必要になります。そのような経験を十分しているからこそ、コンピュータの便利さや弱点にも気づき、まさに情報や情報手段を活用できる能力が身につくようになります。子ども達に早くからコンピュータに触れさせると思いのほか簡単に操作できるようになるでしょう。しかし、情報教育のねらいにとって障害になる場合もあります。しかし、だからといって、いつまでも「コンピュータを使う必要がない」といっているのではありません。教育である限り、適切な段階で計画的な出会いが必要なのです。 情報化社会において、問題解決を行うときに、コンピュータやインターネットの活用は不可欠です。どの段階で道具としてのコンピュータを利用させるか、情報手段の利便さを際立たせるような学習活動を教師が仕組むことが大切です。

教師がコンピュータを持っていないので「情報教育」ができないと言われるのですが…
「情報教育」は、コンピュータを使うことを目的とした教育ではありませんし、コンピュータの使い方の教育でもありません。したがって、教師がコンピュータを持っていなくても、十分に「情報教育」を行うことはできるはずです。
しかし、教師がコンピュータを日頃から利用し、仕事上で情報を集めたり発信したりし、それらの試行錯誤を重ねておくことは、教師自身に「情報活用の実践力」が身につくことに役立ちます。最近は、インターネットでさまざまな教育情報が簡単に入手できますし、教育上のなやみや問題を他の人たちと話し合いながら解決していく機会も多くなりました。自分の体験が、その後、児童生徒に「情報教育」を行う際にたいへん参考になるはずです。
コンピュータはもはや、計算する機械ではなく、電話やテレビと同じようなコミュニケーションの道具ということができます。できるだけ早く、自分専用のコンピュータを手に入れることを勧めます。
いつ頃から「情報教育」を始めればいいでしょうか?

新しい教育課程では、小学校段階では、「総合的な学習の時間」や各教科でコンピュータ、インターネット等を活用し、中学校では更にこれに加えて技術・家庭科の領域に「情報とコンピュータ」を必修とするということとなりました。高等学校では、多くの生徒が進学する普通 科に教科「情報」を新設し、そのほかにも「総合的な学習の時間」や各教科等でコンピュータ、インターネット等を活用するとされています。
このように情報教育は小学校から全ての教育活動で行われるものですから、特にいつからというものではありません。しかし、上記のことを頭に入れて、各学校段階で必要なことを見据えて実施することが大切でしょう。文部科学省では2001年までに全学校にインターネットを接続しようとしているだけでなく、2005年までには、全教室に2台づつ、インターネットに接続されたコンピュータを導入しようとしています。学校の環境もいまとはだいぶ異なることになりそうです。

「総合的な学習の時間」や「情報教育」のためには、どのような学習環境の整備が必要ですか。
最大のポイントは、児童生徒がいつでも情報にアクセスするような情報手段が用意されていることです。児童生徒が主体的に調べることが多く行われますから、そのための学習環境には細かい注意を払わなければなりません。まず、学校図書館の整備が大切です。図書に限らず、新聞や雑誌、ビデオ、CD-ROM、インターネットなど、さまざまな学習の情報源を用意することです。そして、それらが開放され、いつでも利用できるようにすることです。
次に、コンピュータですが、できれば集中的に利用できるような部屋のほかに、校内のいくつかのエリアに数台ずつ置かれているような状態が望ましいでしょう。教室で学習を進めていく場合に、すぐそこで利用できるということは大切です。
コンピュータが分散的に配置されれば、当然、校内LANが必要になります。できるだけ多くのコンピュータからインターネットに接続ができることが望ましいです。 しかし、これらの学習環境の整備には、時間とお金がかかります。優れた学習環境がない学校でも、優れた「情報教育」が行われている例はいくつもあります。要は、子どもたちの周りの情報環境を教師がよく知り、その上でできる範囲で工夫をすることです。
「情報教育」や「総合的な学習の時間」での評価はどのようにすればよいのですか。
新しい学習指導要領の編成の指針となった教育課程審議会の答申には、「総合的な学習の時間の評価」に関して次のような記述があります。
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この時間の趣旨、ねらい等の特質がいかされるよう、教科のように試験の成績によって数値的に評価することはせず、活動や学習の過程、報告書や作品、発表や討論などに見られる学習の状況や成果 などについて、児童生徒のよい点、学習に対する意欲や態度、進歩の状況などを踏まえて適切に評価すること。
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「総合的な学習の時間」における評価は、テストの成績によって数値的に評価することは適切ではありません。むしろ、ワークシート、ノート、作文、絵、レポートなどの製作物,発表や話し合いの様子などから評価したり、児童の自己評価や相互評価を活用したり、活動の状況を教師が観察して評価したりするなどして、その児童生徒なりのよい点、学習に対する意欲や態度、進歩の状況などを適切かつ総合的に評価することが大切です。
ここでの評価の目的は、長期的なねらいに対して、個々の子ども達が今どの状況にあるのかを、本人や保護者に示すことです。したがって、数値や54321ではなく、チェックリストに対して、それぞれがどの程度満足しているかを示すような工夫が必要です。
情報教育については、そのねらいを具体的な学習目標のレベルにして、評価の観点をインターネットで提供する研究開発も進められています。
本校ではまだネットワークの整備が行き届いていません。いつ頃から「情報教育」を始めることができそうですか。

新しい教育課程では、小学校段階では、「総合的な学習の時間」や各教科でコンピュータ、インターネット等を活用し、中学校では更にこれに加えて技術・家庭科の領域に「情報とコンピュータ」を必修とするということとなりました。高等学校では、普通 科に教科「情報」を新設し、そのほかにも「総合的な学習の時間」や各教科等でコンピュータ、インターネット等を活用するとされています。このように今回の教育課程の改訂では、インターネットは、学習内容としても必修の内容になってきているので、これまでのように、予算の余裕のあるところだけというわけにはいきません。
文部科学省では2001年までに全学校にインターネットを接続しようとしているだけでなく、2005年までには、全教室に2台づつ、インターネットに接続されたコンピュータを導入しようとしています。これは具体的な政策として予算化されつつあります。ネットワークの接続費用や回線スピードも、2005年ごろには、驚くほどの状況になっているでしょうし、無線LANやノートパソコンの普及も著しいでしょう。このように、インフラ整備は学校だけの問題ではなく、国や地方行政のレベルで考えられているのです。
インフラはすぐに整ってきます。しかし、最新のインフラをまたなくても、情報教育のねらいの実践力・知識・態度の育成は、さまざまなほうほうではじめることができます。「〇〇がないから、情報教育ができない」といわず、ねらいの本質をとらえて、やれそうなところから、はじめるように努力してください。

生徒用のインターネット施設がありませんが、平成15年までに整うのでしょうか。
インターネットの整備については、今回の学習指導要領の実施に間に合うように、さまざまな財政措置や支援が行われています。
特に昨年には、2001年までに、すべての学校にインターネットを接続するという政策が決定しましたので、ほとんどの学校に近くインターネットの接続がされる見込みです。
しかし、授業の実施で重要なことは、コンピュータ室や教室のコーナーなどで、生徒がインターネットに接続し、情報交換できる環境が整っているかどうかです。これまでのようなコンピュータだけを整列した専用教室では、実習の展開ができません。
インターネットや新しいコンピュータ室の整備は、各学校や教育委員会の指導で進められるので、先生方は情報の教科の実施のために、学校内のネットワーク整備が必要であることを、うまく伝えていく必要があります。
また、学校内の整備だけであれば、保護者や生徒、教師などの協力で、自分たちで作業を分担してネットワークを敷設する運動(ネットデイ)が、あちこちの学校で進められるようになってきています。このことについても、検討してみるのはいかがでしょう。